史朗です。
今回は、自分の書いた曲について綴ります。
どんな曲にも書いた人の思いと何故その曲を書いたのかという理由があるのだと思います。
僕らもそれぞれにそうですから。
音楽の聞き方は自由です。
聞く人の感じ方で音楽は心地良くもなれば、嫌な気持ちになることもあります。
それでいいんです。
自分の好きな心地の良い音楽をえらんでいけば良いんです。
僕は16歳の時に上京をして、
その子は15歳で妊娠して、16歳で子どもを生み、すぐに離婚してシングルマザーをしていました。
『自分と同じ16歳の子がもう子育てをしているなんて凄いな』って素直に思いました。
性格が凄く明るい子で、すぐに仲良くなって、17歳の時に付き合うことになりました。
子持ちの彼女と売れないバンドマンが付き合うことは経済力うんぬん色々と問題があると思います。
若かった勢いもあったし、本当にその子の力になりたかったんです。
赤ちゃんもものすごく可愛くて、『誰かのために生きたい』と初めて思えたんです。
ゆくゆくは一緒になってもいいと思っていました。
赤ちゃんのあやし方やオムツの替え方、ミルクのあげ方も分からなかったけど、毎日のように一緒にいるなかで慣れていきました。
メンバーとの共同生活の中でのことだったので、
本当のところ、僕は【子ども】が苦手でした。
どう接したらいいのか分からなかったからです。(というよりコミュニケーションが苦手でした(笑))
だけど赤ちゃんと接する内にどんどん好きになりました。
毎日は目まぐるしく、バンド活動をしながら早朝、昼、夜中とバイトも3つ掛け持ちして、土日は僕が赤ちゃんをみることにしました。
『16歳で遊べないのは辛いだろう』と思ったからです。
そして彼女が外へ遊びに行ける時間を作りました。
忙しく過ぎる毎日でも凄く充実していて幸せでした。
それから6ヶ月が経ちました。
その日彼女が思い詰めた顔で僕にこう言いました。
突然のことでした。
「バンド頑張っているのに子どものいる私と付き合ってくれてありがとう。
応援したいしこれ以上迷惑をかけられないから別れよう。」
僕は嫌がりましたがとり合ってもらえず、着信拒否までされて連絡も取れなくなりました。
それから3日、僕が放心状態で日々を送っていると、友達が僕のところに来てすごく深刻な顔で話があると言いました。
「ショックかもしれないけど、聴いてほしい
あの子は史朗と付き合った時、すでにお腹の中に前の旦那の子どもを妊娠してたんよ。
あの子はそのことを誰にも相談できずに、昨日自宅のお風呂場で自力出産をして気絶する寸前、私に連絡をくれてなんとか救急車で運ばれて助かったんよ。今入院してるし行ってあげて。」
頭の中が真っ白になりました。
僕は何も知りませんでした。
力にもなれず気づいてあげられなかった後悔や言ってほしかった怒りや色々な感情が溢れて、無我夢中で病院に向かいました。
そして彼女と対面しました。
彼女は傷だらけ痣だらけで眠っていました。
出産するときにもがいてあちこちに体をぶつけたそうです。
その姿を見て怒りをぶつける気はなくなりました。
彼女が目を覚まして言いました。
「ごめんなさい。」
僕はただうなずいて手を握ることしか出来ませんでした。
二人で泣きました。
『生きていてくれてよかった』
弱っている彼女を寝かして、生まれた赤ちゃんを見に行きました。
ガラス越しに見るその子はとても小さくて、でも未来をつかむように手を必死に動かしています。
『この子は何も悪くない。何があっても幸せになってほしい。』
面会を終えて家に帰るとすぐに曲を書きました。
何も出来なかった悔しさもあったんだと思います。
生まれてきた子に伝えたくて書いた曲の名前は
【カウントダウン】
幸せになるためのカウントダウンを伝えるための曲。
君は幸せになるために生まれてきたんだよ。
みんなと違う境遇で生まれて来たことでいつか辛い思いをするかもしれない。
だけどこの世界に君の為だけの幸せを願って歌われる唄があることを覚えておいてほしい。
そんな願いを込めました。
それから彼女は元気になり、子ども達はすくすくと育ちました。
ずっと一緒にいることはできなかったけど、僕の人生の中でとてもとても大切な時間だったことは確かです。
今、色々な境遇で生きている誰かへ、この曲が幸せへのカウントダウンを告げられているのなら幸せです。
最初にも言いましたが、曲をどう感じるかは自由です。
これからも僕らの曲達をそれぞれの思いで愛してもらえると嬉しいです。
長い文章を読んで頂きありがとうございました。
この歌は君が一人で歩いていく為の歌
小さくだけど君にも聞こえるだろう
少しずつ早く大きくなる 心の足音が
立ってるだけで本当はすごいんだ
でも君は歩こうとしている 震えながら堂々と
待っている人がいなくても 寂しくて泣きそうでも
少し耳をすましてごらん
ほら君が旅立つ為の 力強い歌声が聞こえるかい
情けないその手を笑いながら震える体には言ってあげよう
「君は一人きりじゃない」
僕の声が聞こえるだろう
小さくだけど君には聞こえるだろう
助けを呼ぶ自分の声が
いつまで見て見ないふりをしているんだい
愛する人がいなくなって 信じることが出来なくなったら
まわりをよく見てごらん
ほら僕が君の為に 力いっぱい声枯らして歌うよ
情けない顔してたっていいんだ震える体とは手をつなごう
「何も恐いもんなんかない」
こんな歌が聞こえるだろう
君が生きていくこの世界は
キレイなものばっかじゃないだろう
そのつど諦めそうになる時
僕が君の為に歌ってること
思い出して
ほら僕ら君の為に 力いっぱい声枯らして歌うよ
情けない顔していたっていいんだ
青空見上げて歩き出そう
ほらまわりを見渡してごらん
みんな君のために歌っているよ
「君は一人きりじゃない」
「なんにも怖いものなんかない」
僕の声が聞こえるなら
きっと素晴らしい未来へ行こう
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