ここが僕らの0地点

不登校だった僕らから

中学校のとき、不登校がきっかけで出会ったメンバーでバンドを組んだ。

僕らにとっては遊び道具の一つで、みんなで合わせられるおもちゃみたいなもんだった。

目立ちたくない僕らは当然人に聴かせるつもりはなかったけど、僕らの姿を見た親が喜んで不登校親の会で演奏会を開いてくれた。

 

僕らにとってはありがた迷惑で全然嬉しくなかった。

むしろ辛かった。

だけど、拍手をもらうことで、褒められることで、僕らの中で何かが変わったのは確かだ。

生きているだけで誰かを苦しめていると思っていた僕らが、

『僕らが人を悲しませないですむ方法があったんだ。』そう思えた。

 

それから音楽を奏でることは僕らの唯一誰かに誇れる特技になった。

同級生もバンドの噂を聴いて、文化祭前の演奏を教えてほしいと家に遊びに来てくれるようになった。

 

勉強も部活も先生の名前すら分からない僕らが、友達にニコニコ笑って話ができた。

音楽の話だけは自信を持って話せた。

 

中学を出た後の僕らの目標は決まった。

テレビでは「上京」という言葉が飛び交っていた。

 

みんなに言ってみた。

「おれら東京に行ってバンド活動をするわ!」

 

最初は実感もなく自分たちでも本当か嘘か分からず言っていた。

そしたら僕らよりも周りのみんなが本気になって応援してくれた。

「すごい」とか「かっこいい」とか

不登校の僕らには縁のなかった言葉がたまらなく嬉しかった。

 

だんだんと現実味を帯びてくるごとに僕は焦った。

『あれ、ほんまに東京にいかなあかんの?』

 

周りはどんどん熱くなっていく。

 

何のつてもない、知り合いも全然いない。

 

世間の゛せ ゛の字も知らない僕らがどうやって生きていくのか?

想像さえ出来なかった。

 

 

東京に物件を探しに行くことになった。

東京に暮らしたかったが、メンバーで一緒に入れる家がなかった。

見つけたのは埼玉のグローバルマンション。

名前がやたらカッコいい(笑)

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あれよあれよと言う間に上京の日程が決まってしまった。

 

もう逃げられない…。

 

出発の日、もう一生会えないんじゃないかと思うくらいに盛大にみんなが見送ってくれた。

気が付くと夜行バスに乗っていた。

 

ここまで来てしまった…。

寂しくて怖くてとにかくいっぱい泣いた。

明日のことは全くわからない。

 

 

みんなの共同生活が始まった。

とりあえずテンションを上げて取り繕った。

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とんでもないホームシックが僕を襲った。

朝起きたら寂しい。

ご飯食べたら寂しい

顔洗っても寂しい。

息をしているだけで寂しい。

 

毎日5時に起きて滋賀の知り合いみんなにメールを近況の超長文のメールを送った。

一括なんて機能はまだなかったから一人一人に順番に送った。

みんなはうっとうしかったと思うけど、繋がりを感じていたかった。

 

バイトを探すことから始めた。

ご飯が食べられるように飲食店でというルールをみんなで決めた。

16歳という歳のせいでなかなか見つからない。

 

最初に親が遊びに来てくれたとき、本当に嬉しかった。

 

 

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帰ったらまた死ぬほど寂しい。

 

 

 

家の近くに河原があった。

人が全然こない静かな場所。

来るのは電車だけ。

 

 

 

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滋賀育ちの僕らには水辺がとても懐かしく思えた。

毎日毎日行った。

みんなで行くときも一人で行くときもあった。

 

ギターを持っていって歌ったり、釣りをしたり、石を投げて遊んだり。

いっぱい話をした。

 

今思えば、ここが僕らの0地点。

 

不登校だったことや、みんなに負い目を持って生きてきたこと。

そんなことだーれも知らない場所。

叫ぶことも泣くことも笑うことも全部自由な場所。

 

 

0からはじめよう。

 

 

この場所から僕らの新しい人生が始まった。

 

 

 

 

 

史朗

 

 

 

 

 

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