たった一歩の違い

不登校だった僕らから




小学5年生


僕は不登校になった






「不登校になってしまった」という感覚よりも


「とうとうここまで来てしまった」という方が合っているように思う






だってここまでの道のりは選択の連続で


僕は自分で思う悪い方ばかり選んでしまった気がするからだ


その積み重ねでここまで来たから








まずは言葉だった






自分の気持ちを人に伝えることが苦手で


一つ言葉を伝えることを我慢した


また言えると思った


でも同じ言葉なのに次に伝えようと思った時には


もっと伝えることが難しくなっていた


そうやって伝えられなくなっていくと


いつの間にか


それが当たり前になってしまった






次は遅刻だった




ある日学校に行こうとするとお腹が痛くなって


初めて遅刻した


一度の遅刻ですでにみんなから遅れてしまった感覚になって


なんだか申し訳なくて


必死に追いつこうと頑張った


だけど追いつけなくて


それがプレッシャーになって


またお腹が痛くなって


また遅刻して


どんどん普通に戻れなくなった






そして学校を休んだ




一日休んだだけでも


次の日教室に入るのは凄く勇気が必要で






それが一日


また一日と積み重なれば


教室に戻ることはかなり難しくなった








子どもの僕にとって


たった一歩の違いはもの凄い違いで




少しでも遅れると


そこからは置いていかれるという気持ちになって


取り戻さなきゃってただ必死で




気がついたら疲れ果てていた




だから僕には休む時間が必要だった






大人になって思う






あの時一言でも自分の気持ちを伝えられていたら






あの時周りのみんなとの違いを自分で比べたりせず


「僕は僕でいい」と思えていたら






きっと大きく僕の生き方は変わっていたのかもしれない






きっと人生を変えるのはそんなほんの小さなこと






たった一言伝えること


たった一度自分を肯定してみること








悪いと思っていた選択もそんな小さなことで


全部良いことに変わったりする






だって今僕は全ての経験があって良かったと思えているから








雄介








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