不登校だった僕らの出会い

不登校だった僕らから



よくこんな質問をされることが多い


「不登校の時 元気になった
または立ち直ったきっかけはなんですか?」


”乗り越えた”ともよく言われるけど
僕は不登校を病気や異常なものだと思っていないから
その不登校がそもそもダメだったような質問は本当は好きじゃない


だけど確かにあの時
変わるきっかけが幾つもあった


母に泣きながら抱きしめられたことだったり
周りの人達の優しさだったり


その中でも一番大きなきっかけは
のりくん(八田典之)との出会いだった


初め不登校親の会で親同士が出会って
近所だったから子ども達を出会わせてみようとなった


その話を親に聞かされた時は正直
複雑な気持ちだった


その時は外の人が怖かったから
同じ不登校であっても
どんな人かもわからない2歳年上のお兄ちゃんと仲良くなれるか不安だった


それからすぐに親がバーベキューを企画して
僕らは出会うことになった


でも子ども同士が気まずい空気なのは本当に一瞬だった


人ってこんなにすぐに仲良くなれるのかって思えるくらいに
僕らは仲良くなった


本当に久々だった
人に気を使わずに遊べるのって


それはきっとお互いが人や学校に対して劣等感や怖さを持っていたからだと思う


そのバーベキューの出会いから
僕らは毎日遊ぶようになった


3人だと外に出ることが出来た
(下校時間は必ず家の中にいるという暗黙のルールはあったけど)


今考えると不思議なんだけど
僕らはそれぞれの不登校の話を一切しなかった


学校には行けないけれど
休んでいいなんて思ったことは一度もなかったし
いつも明日は学校に行かなきゃと思っていた


だから僕らは毎日遊んでいるのに
明日も必ず遊ぶのに
次の日の約束はしなかった


朝10時頃になるとのりくんの家に電話して
「のりくんは今日いますか?」と聞く


毎日どちらかが必ずその電話をしてから会う


きっとそれをすることで「学校に行こうとしている」という
僕らなりの意思表示だっだのだと思う


僕らはいつも3人で
いろんな所に行っていろんな遊びをした


特に学区外に行くと気が楽になった


釣りや野球
買い物
3人でいると僕らは”明るい不登校”だった


しばらくして
同級生で不登校していた宇野くんとも出会った


そして遊びの中で楽器に出会って
いつの間にかバンドになった


親は自分たちが思っている以上に仲良くなった子ども達を全力で応援してくれた


不登校の子が自分から動き出すことや
きっかけを見つけることは難しいことが多い


僕も自分ではほとんど動けなかった


だから大人がきっかけを作ることは
どんどんしてあげてほしい


合わなければそれでいいし
そのきっかけがその子に合えば
きっと新しい自分を見つけることが出来る


人はいつどんなきっかけで変わるかなんてわからないから


けっして押し付けず
期待をせず
見守りながら一緒に未来を探す


きっとうまくいかない方が
当たり前だから
のんびりでいいと思う


少なくとも僕はあの時
親がくれたきっかけで変わった


あの時のホッとしたような
親の自然な笑顔を今も強く覚えている






雄介


 


 

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