僕には人生で特別な曲が沢山ある
自分から産まれた曲
助けられた曲
教えられた曲
その中で僕が中学1年生の時に出会った曲がある
それはスピッツの「空も飛べるはず」だ
僕に初めての緊張をくれた曲
僕に初めての拍手をくれた曲
そんなこの曲の思い出を書こうと思う
あれは僕が中学校1年生の時
小学5年で不登校になって
僕の人生は
そして僕の心は目まぐるしく変わっていった
小学校を不登校のまま終えて
僕は中学生になった
学校が変わることは僕にとって自分を変えるきっかけだった
「中学からまたみんなと同じように学校に行こう」
そんなワクワクと恐怖の中
中学の入学式になった
僕はだぼだぼの学生服を着て
それでもなんだかそれだけで自分が変わった気がしていた
中学生という
みんなの初めてを同じように体験している
それだけでなんだか嬉しかった
初めて入る教室
そこはやっぱり少し怖かった
そして先生がきた
若い女の先生だ
その先生はとても明るくて元気な人だった
新任の先生で初めて受け持つクラスがこのクラスということだった
A先生は僕の事を知っていたみたいで
(不登校の事)
僕の事を初めから雄介と
下の名前で呼んでくれたことは嬉しかった
「これからがんばるんだ。。」
結局僕は1週間でまた学校に行けなくなった
こんな自分が嫌で嫌で仕方がなかった
またしんどくて後ろめたい日々が始まった
そんな日々の中
A先生は毎日夕方に僕の家に来てくれた
先生が必死なことはその時の僕にもわかった
でも嫌な気持ちは無かった
そしてある日
A先生がこんな事を言った
「今度の合唱コンクールの歌の伴奏を雄介にやってほしいねん!」
僕は小学5年からアコースティックギターをやっていた
それを先生がしって提案してくれた
僕は言った
「でも一人で人前で演奏するなんてしたこともないし
練習にも。。たぶん。。行けません。」
先生は明るく
そんなことは大丈夫と言った
結局A先生のやる気に
僕は断る言葉が浮かばなかった
合唱コンクール僕のクラスが歌う曲は
スピッツの「空も飛べるはず」と言う曲だった
まず先生はなぜこの曲を選んだかを
僕に説明してくれた
先生はサビの歌詞の
「君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず」
という部分がみんなと出会えたことに重なって
本当に感動したという話をしてくれた
でもその時の僕にはサビの歌詞は
そんなに響かなかった
でもAメロの歌詞の
「幼い微熱を下げられないまま 神様の影を恐れて
隠したナイフが似合わない僕を おどけた歌でなぐさめた
色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて」
この部分がすっと心に入ってきた
特に「神様の影を恐れて」はこみ上げてくるものがあった
その時の僕は本当に全てが怖かったからだと思う
次の日先生はテープレコーダーを持ってきて
僕のギターを録音をすることになった
その音でみんなで練習するからね
と先生は微笑んだ
僕は緊張しながら必死でギターを弾いた
そして本番までの期間
僕は学校には行けなかったけど
毎日合唱コンクールの事を考えて
一人で必死にギターを練習した
一人だけどみんなと同じことに向けて練習することは
決して孤独ではなかった
自分がクラスの一員として必要とされている事実が嬉しかった
そして合唱コンクール当日
僕は久々に学生服をきて学校に向かう
ギターを背負っているだけでなんだか心強かった
A先生が下駄箱まで向かえに来てくれた
すると遠くの窓から上級生が叫んでいた
「山崎!!お前こんな時だけずるいぞ!!」
僕は急にこわばったけど
すかさず先生が
「気にしんでいいよ。あの子らも学校来たくないねん。」
とフォローしてくれた
元々緊張していたから
僕はあまりなにも実感できないまま教室についた
クラスメートは優しく向かえてくれた
そしてさっそく最後のリハーサルになった
僕はとにかく必死でギターを弾いた
みんなが僕の演奏に合わせて歌ってくれている
僕は嬉しかった
最後に先生は厳しい事一つ言わず
みんなで一緒にできる事が嬉しいといった
また僕は嬉しかった
そして本番の時が来た
緊張しすぎて僕の足は震えていた
その後覚えていることは
みんなの歌う横顔
A先生の顔
終わった後
A先生はただ
良かった
みんなよくやったと言ってくれた
僕はその時心はあったかくなるのを感じた
この感覚を感動というのかもしれない
今でもスピッツ「空も飛べるはず」を聞くと
あの時の事を思い出す
あの合唱コンクールの後も学校に行くことはできなかったけど
少しかもしれない
だけど僕の心が変わったことは確かだ
今やっとあのサビの歌詞が心に響きます
「君と出会った奇跡が この胸にあふれてる
きっと今は自由に空も飛べるはず」
A先生ありがとうございました