風の香り

 
 

風の香り
 
 
いつの日にか僕らは夢をみた
いつの間にか諦められなくなってしまった
 
幼い心で僕らは夢をみた
幼すぎて諦められなくなってしまった
 
線路を描いて目を閉じたなら
思い描いていた場所はあると思っていた
 
ふいに風が僕らをよこぎって
胸にのこったいたみを一瞬さらってくれた
 
きしむ階段をおそるおそるのぼり
うえを見上げては
何度もつまづいている僕らがいて
 
つきない気持ちで途方に暮れるけど
誰のためでもなく
ただ自分のためにとわかった
 
風のないまちのなかへといくのに
生まれたまちの優しい
風の香りで泣いていた
 
線路を描いて目を閉じたなら
思い描いていた場所はあると思っていけたらな
 
時がすぎて 年をかさね歩みいく
時のなかでただ君を想えたら
形のない心だから抱きしめて
つきることのない思いを
高く遠く向かせていこう

 


 
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